さくらんぼ語訳について

 「さくらんぼ語」は、私の造語です。
古典の世界に興味のある方でしたら、きっと、橋本治氏の名著「桃尻語訳 枕草子」を思い浮かべられたことと思います。

 「桃尻語」は、女子高生言葉のこと。「桃尻語訳」は、女子高生言葉で訳した、という意味です。つまり、「桃尻語訳 枕草子」では、

「春ってあけぼのよね! だんだん白くなってく山ぎわがすこーし明るくなって、紫っぽい雲が細くたなびいてんの!」

というように、かの古典の大作「枕草子」の超有名な冒頭部分をダイナミックに訳してしまっているのです。

 高校生の時に、この本に出会い、当時から国語教師になりたいと思っていた私は、「こんな風に古典を教えたい!」と思ったのでした。

 大学でも専攻したように「源氏物語」は私の大好きな古典。でも、1文が長いし、敬語が多すぎるし、主語は省略されまくってるし、くどいし・・・・(-ー;)と、授業で扱うと、文法的なことにとらわれたりして、結局は、たいへんわかりにくい口語訳になってしまいます。

 そこで、まぁ、授業でいきなり文法を端折るわけにもいかないので、ホームページ上に公開して、一般の方や高校生に読んでもらおう、と思ったのです。

 まずは、タイトル・・・。やはり、モデルとなっているのは、橋本氏の「桃尻語訳」ですから、「○○訳 源氏物語」としたかったのです。「桃尻語」に代わるものとして、頭をひねり、ひらめいたのが「さくらんぼ語」。「さくらんぼ」=Cherry。Cherryは、成熟していないことを指して使われますね。そこから、「さくらんぼ語訳」という言葉が生まれたのです。(でも、桃尻語ほどかっ飛んでない・・・と自分では思います。 桃尻語は、あまりにもハイパーすぎる・・・)

 「さくらんぼ語」は、簡単に言うと、どういったものかと言いますと、女子高生が文章を書く時に使う言葉、だと思っていただければいいと思います。そこが、「桃尻語」と違うところです。桃尻語は、話し言葉に近いもので書かれているので、読んでいると多少疲れてくる面があるのだと思うのです。あくまでも、源氏物語は小説ですから、書き言葉で訳していこうと思います。

 また、「さくらんぼ語訳」では、女子高生の感性に訴えかけられるような訳し方を優先しています。こむずかしい表現も、「よーするに、こーゆーこと!」っていうような・・・。ただし、「女御」とか「入内」とか、「殿上人」などの、古典の世界の言葉をいちいち説明していると、とても面倒くさくなってしまいそうなので、その辺は、そのままその言葉を使っていますので、その点だけは、解からないようでしたら、辞書を紐解いてみてください。

 この「さくらんぼ語訳」は、基本的には、橋本氏の「桃尻語訳」と同じように、一語一語を大切にして、原文と照らしあわせて、できるだけ省略はしないように心がけています。でも、補ってある部分がありますし、長い1文を、2文に分けていることはあります。ご了承ください。

 それでは、「さくらんぼ語訳 源氏物語」どうぞお楽しみくださいませ・・・。

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